きつねにっき

推しに引かれて善光寺

仮面ライダービルドの話

 悪の組織の名前が「ファウスト」っていうから見て見たらとんでもなく面白かった仮面ライダービルド。さらに今まで考察してきたハイローの悪徳スカウトDOUBTの一人にして蘭丸の片腕平井を演じた武田航平が参戦したことにより事態は混沌を極めていた!という話です。

 

 子どもだけではなく、大人も楽しめるコンテンツとして成長著しい仮面ライダーシリーズ。私はひょんなことから昭和一号ライダーを視聴していた20代という時間軸が少々バグった視聴者ですが、久しくライダーからは遠ざかっていました。エグゼイドで身の回りの人たちがバイクと医者とゲームで心が踊っているのを横目に「おっ楽しそうだな!オラも負けてらんねぇぞ!」とばかりに楽しく韓国映画で人の手首が飛んで行くのをドドドドドと見ていたクチです。これでいい…。(ちなみにエグゼイドもドドドドドと完走しました)

 しかし。仮面ライダービルド、一筋縄では行かなかった。

http://www.tv-asahi.co.jp/build/

 火星から持ち帰られたエネルギー物体「パンドラボックス」の謎の作用により突如生まれた「スカイウォール」によって日本は東都・西都・北都の三つに分かれてしまった。その事件から十年後、冤罪を着せられたうえ謎の人体実験から命からがら逃げだした元格闘家の万丈は、仮面ライダービルドこと、天っっ才物理学者(ここ大事)桐生戦兎と出会う。戦兎は一年前に記憶を失くしており、自身を拾ったというカフェのマスター・石動惣一とその娘石動美空と共に暮らしながら、東都の街に出没する怪人「スマッシュ」から人知れず市民を守っていた。自分が万丈と同じく謎の人体実験を受けたと考えた戦兎は、万丈と共に、徐々に悪の組織「ファウスト」の謎に近づいていく。そして戦兎と万丈は軍事兵器として仮面ライダーを利用しようとする勢力や軍事力強化を狙う東都政府の思惑に巻き込まれていく…といった感じの筋書。

 

youtu.be

 

  愉快なかんじ。

 

 記憶喪失の主人公が新たなアイデンティティを仲間たちとの相互コミュニケーションの中で作っていくという自己形成物語の要素、「軍事兵器としての仮面ライダー」という筋書き、戦争、父親殺し、女性性が大きなキーワードとなるモチーフの利用など面白い点がたくさんあります。子ども向けと言いながら、人間が文学や神話において扱ってきたテーマをリフレインしつついつだって混沌の「現在」を生きる我々の物語として成立させているという点は、創作物としてのあるべき姿を適切に体現していると言えるでしょう。

 筆者は畜生ムーブを繰りだすクソ外道おじさんことブラッドスタークの活躍に夢中です。可愛くて健気でいたいけな若者たちをもてあそぶ「父親」です。

 

 今回は仮面ライダービルドについて思うことがありすぎるので

  ・ ファウスト文学の観点から見る仮面ライダービルド

  ・ 果たして桐生戦兎は父親を殺せるか

 という二つのトピックについて叫びたいと思います。