4. 戦兎と石動 / 葛城と石動
戦兎と石動。この二人は被創造物と創造者ともいえる状態にあります。個人的にはこの関係に非常な趣を感じてめちゃくちゃ好きなんですが、戦兎の前進が葛城であることを考えると、葛城ファウストと石動メフィストという図式がしっくりきます。
葛城の研究対象はパンドラボックスであり、現状パンドラボックスと一番縁が深いのは石動です。また、前回述べたように科学=悪ではないかという疑問が呈されている現状に加え、場合によってはパンドラボックス≒石動であると考えるとこの構図は強化されます。
しかし、科学を二面性のあるものとして置き、葛城=ファウストと置いた場合、科学の悪の側面は石動が象徴することとなりますが、正義の側面を象徴するのは戦兎ではないでしょうか。
つまり、葛城≒戦兎≒ファウスト VS 石動メフィストという構図が完成します。しかし、戦兎はその人格形成において石動に大きな影響を受けています。
ここで筆者はゲーテファウストのホムンクルスを想起します。ホムンクルスはファウストの弟子ワーグナーが完成させたとされていますが、実際はメフィストの魔法でちょちょいと生まれています。
この辺がもうちょっとなんか、本編でなんかないかなぁとか思いますが…。
さて、ゲーテの『ファウスト』において、メフィストは以下のように述べています。
人間はあんた(神)が天の光を与えなかったならもっとましな暮らしをしていたでしょうにね。
人間はその光を“理性”などと呼んで、ただどんな獣よりも獣らしくあるためだけに使っているんですよ。
この“理性”を“科学”という言葉に置き換えると、以前の石動スタークの台詞に重なってきます。もちろん、この理性の光は戦兎の一生懸命な活躍で正しい方向に使われていきます(少なくとも戦兎はその方向を向いています)。
前回述べたMortzkiの論説、ヘーゲル哲学における肯定と否定のそれぞれの原理をファウストとメフィストが象徴しているという論を採用すれば、肯定の戦兎、否定の石動が共に働き合うことで(一時期不本意にも流行した)アウフヘーベン、科学の「よりよい」発展に繋がっていくと考えられます。
石動惣一のトリックスターじみた動きが来週どのような展開を迎えるのか想像がつかないので、また改めて追記します。
4/13 追記
なんかとんでもないことになりましたね!
そもそも石動惣一=ファウスト、エボルト(?)=メフィストなんですかね。
増殖するメフィストという点では非常に興味深いのではないかと思います。